現役Webライターによるいろいろな思い

【Webライターの本音】クライアント様との価格交渉ってできるの?

Webライターに限らず、業務委託のスタイルで生計を立てている人はいわゆる「賃上げ」のトレンドの対象外ですよね。…少なくとも自分は対象外ですが、フリーランスが賃金を高めるためには「雇い主と話し合え」的な意見を耳にすることもあります。

例えばインボイスが導入される際、声優の方々が反対の意見を表明しました。それに対し「そもそも低賃金の業界がおかしい」といった声、さらには「インボイスだとかじゃなくしっかりと価格交渉しろ」との声もありました。

正論ではありますが、果たしてクライアントと価格交渉できるのか、Webライターとしての経験談から語っていきたいと思います。

Webライターがクライアントと価格交渉するのは「現実的に難しい」

結論からお伝えすると、Webライターがクライアント様と価格交渉を行うことは、「現実的に難しい」ですね。つまりは言い値です。

実際、自分自身もこれまで基本的に言い値でお仕事をしてきました。

もちろんその「言い値」に対して、仕事を行うか断るのかの選択肢はあるので決して「不当に労働してきた」なんて主張するつもりはありません。

ただ、現実的に価格交渉は難しいだろうなと思っています。その理由をいくつかご紹介しましょう。

代わりがいくらでもいる世界

クラウドソーシングを見ていると、Webライターの案件が少なくなっている一方で、少ない案件に対しての応募が増えています。

つまり、Webライターの世界において、仕事量と労働者の数が見合っていないってことですよね。

仕事ではなくWebライター側の方が多いと。

だから30人、40人くらいの応募がある案件を見かける機会が珍しくありませんが、これってつまり、「代わりはいくらでもいる世界」ってことですよね。

だから厳密には「自分は価格交渉はできないWebライター」です。唯一無二というか、他のWebライターではできないお仕事をしていると自負している方や、実際にかなりハイレベルなお仕事をしている方であれば話は別でしょう。

あるいは自分なりのパーソナリティーを発揮して仕事をこなしている方なんかも別ですね。でも、自分のように「どこにでもいるWebライター」は、代わりはいくらでもいると思います。

だから「もう少し賃金上げてもらいたい」って交渉したら「じゃあ他のライターにします」となるのがオチというか(苦笑)

正社員ならいざしらず、業務委託であれば報酬をいくらに決めるのは自由ですけど、その報酬を支払うか決めるのはクライアント様です。例えば「1文字20円でしか仕事を引き受けません」って主張するのは自由ですけど、実際にその条件で仕事を回してくれるクライアント様がいるのかって話ですよね。別に自虐とかではなく、これまで長くWebライターとして活動してきただけが取り柄の自分のようなWebライターは、価格交渉できるほど自分側に有利な材料がないですね。

経費にこだわっているクライアント様が多い

あまり失礼なことは言えませんが、自分にお仕事を下さっているクライアント様の多くが、やっぱりそれなりに賃金というかコストにはシビアですよね。

少なくとも、「人件費なんだから湯水のように使っても良い!」ってスタンスなんだなって思うようなクライアント様はおられません。

例えばとあるクライアント様の例を出すと、テキストのみとWordpressへの入稿では単価が異なるんです。

もちろんWordpressへの入稿の方が単価が高いんですけど、あんまり複雑なタグを使わないであろう案件っていうんですかね。それこそh2、h3を設定する程度のお仕事は最近は「テキストだけでOKです」ってなりましたね。

自分自身、htmlはなんとなく理解しているのでWordpressへの入稿までできるんですけど、単純なものはコストをかけてまで外注しないってことですよね。

もちろんこのようなスタイルを批判するつもりはないですし、むしろそれでも仕事を回してくださっていることに感謝しかありませんが、ただこういったクライアント様に、価格交渉して単価を上げてもらえる可能性ってあるのかな?って思いますよね。

そもそも論ですけど、外注を使うってことはできる限りコストカットしたいってことだと思うんですよ。

それに、賃金アップの流れってあくまでも「雇用者と被雇用者の関係」であって、業務委託や外部はまた違った話なんじゃないですかね。

業務委託・外部の場合、クライアント様が「多少高いコストを支払っても良いから」と思えるようなスキルを磨くしかないんじゃないかなと思いますが、自分自身、他の数多くのWebライターよりも「自信があります」って胸を張れるようなWebライターとしてのスキルがあるかと言われたら難しいかなと。そもそも、「Webライターとして高度なスキル」ってなんだろう?って気もしますし。だから価格交渉は難しいでしょうね。

テキストだけでは難しい

価格交渉って、対面しての交渉でも難しいと思うんですよ。

でもWebライターって、多くのクライアント様とテキストでやり取りしているんです。

時にはオンラインでのミーティングだったり通話だったりで打ち合わせすることもありますけど、基本的にはテキストでのやり取りなんです。

ということは、仮に価格交渉をって思ったらテキストで行うか、テキストで失礼だと思ったら通話だったりオンラインで会話ってなるじゃないですか。

だからクライアント様に「ちょっとお話したいことがあるんです」って伝えることになりますけど、じゃあそれをできるのかって言われたらやっぱり難しいんじゃないですかね…。

クライアント様側とすれば、わざわざ「時間を取って欲しい」って言われて何かと思ったら「あまりお金をかけたくない」って思っている外部委託の人間から「価格を上げろ」と言われるんです。

もしも自分がクライアント側だったら、それまでのお付き合いがあるとはいえ、やっぱり「他の安いWebライターを探そう」ってなるんじゃないですかね。

これがWebライターが少ないってことなら話は別ですよ。クライアント様側だって数少ない貴重なWebライターを確保したいって思うでしょうけど、さっきも言いましたけどWebライターってたくさんいますからね。

それこそ、「これは良いタイミングだ」って思われる可能性だってありますよね。

少なくとも自分は、「クライアントに利益をもたらしているから価格を上げてもらって当然」とは思えないですよね。

Webライターとして収入を増やすためには?

価格交渉をするのが難しい以上、Webライターとして収入を高める方法としては、

  • 単価の高い仕事を引き受ける
  • 他にも収入源を作る

の二択なんじゃないかなと。
そもそも論ですけど、フリーランスとして案件を引き受けているのはあくまでも自分の意思だと思うんですよ。

正社員の場合、賃金は自分で決めることができないですけどフリーランスの場合、どれだけ長いお付き合いだとして基本的に案件毎に契約というか、「この案件を引き受けてくれますか?」みたいな形で話が進むと思うんですよね。だからそこで引き受けるか・引き受けないか、常に判断できると思うんですよね。

「報酬に見合っていない」って思ったら「NO」って言えばいいというか。

もちろん価格を上げてくれるなら大歓迎ですけど、ただ現実的に考えるとフリーランスって立場は弱いとか恵まれていないとかじゃなくて、そういったスタイルなんじゃないかなっていうのが本音ですかね…。

そういった料金体系が嫌だってことなら、フリーランスじゃなくて正社員って道もあるんですし。