現役Webライターによるいろいろな思い

「キング・カズ」こと三浦知良が老害と叩かれている理由は?引退は?

三浦知良

三浦知良。この名前は筆者のようなアラフォー世代にとって、あるいはその前後の方々にとってまさに「特別」「時代の象徴」でした。それこそ「サッカーといえばカズ」だった時代もあったほどですが、2025年6月、まだ現役選手としてプレイしているのをご存知でしょうか?

いわゆる「Jリーグバブル」と呼ばれる、Jリーグ全体が華々しさを持った時代はJリーグが開幕した1994年。その頃に「スーパースター」として存在感を発揮していたカズが、未だに現役と聞けばサッカーにさほど興味の無い人にとっては「え!?」と思うことでしょう。

一方、サッカーに興味のあるファンにとっては少々複雑な視線を向けざるを得ない状況となっています。一体なぜ「キングカズ」こと三浦知良選手に複雑な視線を向けなければならないのか。今回はその理由について、筆者の主観を交えながら紹介していきましょう。

キングカズの「現在」

カズのこれまでについては多くの人がなんとなくご存知でしょう。中学卒業後にブラジルに渡ってプロとなり、Jリーグを盛り上げて日本代表をワールドカップに導くために帰国。Jリーグ開幕時にはまさに「Jリーガーの象徴」として大きな存在感を発揮しました。

しかし1994年は「ドーハの悲劇」と呼ばれるロスタイムの同点弾によってワールドカップ出場はならず。さらに1998年のワールドカップでは日本代表はワールドカップに出場できたものの、カズはワールドカップ直前で代表から外されることになりました。このような歴史はおそらく筆者世代であればサッカーにさほど興味のない人でも何となくご存知でしょう。

では「2025年6月現在」のカズはというと、実はまだ現役です。

さすがにJリーグではなく、その下であるJFLの「アトレチコ鈴鹿クラブ」に在籍し、チームの一員としてJリーグ昇格を目指しています。

…え!?と思った方も多いことでしょう。カズは1967年2月生まれで現在58歳。同世代がいないどころか、還暦が見えてきた年齢であるにもかかわらず、未だに現役を続けているのです。

プロスポーツ選手は名選手ではあっても30歳前後くらいが「脂の乗っている時代」で、その後は緩やかにピークアウトして30代中盤から後半にかけて引退を選択します。戦力外となって半ば強制的に引退する選手もいれば、まだまだ続けられるであろう状態でも現役から退く選手もいます。この点に関しては正解・不正解ではなくアスリート自身の価値観やキャリアプランによって異なる部分ではありますが、それでも40代はおろか50代でも現役選手となると、なかなか聞かないものです。

これだけを聞けば「50代で頑張ってて凄い」と思うかもしれませんが、実際にはその逆の声、つまりは「早く引退した方がいいのでは」「老害になってしまっている」といった辛辣な声が聞かれます。

https://twitter.com/1188_2810/status/1928399582142324774
https://twitter.com/jiieesuu/status/1808886783746453853

SNS上にはかなり厳しい言葉が並んでいます。全盛期のカズを知る人間、あるいは全盛期のカズ「しか」知らない人にとっては、カズがこのような批判を受けていることに驚きを受けるかもしれません。

しかし、サッカーファンであればここまで厳しい言葉ではないとしても、カズに対して厳しい視線を向けたり、厳しい思いを抱いてしまうことでしょう。

なぜキングカズが老害と批判されているのか

カズが「老害」だと批判を受けている原因・理由はいくつかありますが、突き詰めるとカズがサッカー選手として結果を残せていない点が挙げられます。

57歳となって現役を続けているだけで「凄い」との声もあります。確かにごく一般的な57歳の男性と比較すれば若々しいですし、運動能力も高いでしょう。しかしカズが勝負しているのは一般男性ではなく、サッカー選手たちです。そこに年齢など関係ありません。

「では解雇すれば?」となりますが、ここに批判の理由が隠されています。

カズの知名度は圧倒的です。それこそサッカーに興味のない人でも名前くらいは聞いたことがあるでしょう。その知名度のおかげで、カズの行動は大々的に報道されます。

例えば現在所属しているアトレチコ鈴鹿クラブですが、カズが在籍していることでスポンサーも付きました。マスコミもやってきます。観客動員も増えています。この点はカズの功績です。カズだからこそではありますが、一方でこれらはすべて「グラウンドの外」の話です。

アトレチコ鈴鹿クラブはJリーグ入りを目指すJFLですが、どれだけ大金を得てもJリーグ昇格のためにはある程度実力も求められます。つまりは「グラウンド内」が問われることになりますが、カズは近年は得点を記録していません。それどころか、やはり衰えが目立つようになっています。

57歳で現役なだけでも凄いことではありますが、プロの世界は「年齢選手権」ではありません。若くてもベテランでも、求められるのは結果です。むしろ若手であればこれからの伸びしろもある程度考慮してもらえますが、ベテランは伸びしろではなく結果を求められます。

その結果が出ていない。でも知名度があるから注目を集める。

この点がカズが批判を受けている「火種」です。

結果が出ていないけど「使われ続ける」「解雇にならない」カズ

単刀直入に、結果だけを見ればカズはもはやいつ解雇になってもおかしくないです。一方で、繰り返しになりますがカズには現役選手最高峰の知名度があります。

仮にですが、カズが「引退します」となれば、アトレチコ鈴鹿クラブに付いているスポンサーは撤退する可能性が高いです。その後、露出激減することが見込まれるんですから。このような状況から、カズは「結果を出さなくても解雇にならない」状況となってしまっています。さらにはスポンサーの意向か、途中出場することもありますが、この点もサッカーファンからすれば「もっと他に使う選手がいるだろ」となります。

実力勝負のはずの「グラウンド内」に、実力以外のことで選ばれている選手が出場している。

この事実がカズに強い逆風となってしまっています。裏を返せば、カズがグラウンド内で大活躍すればこのような批判など瞬時に収まることでしょう。

キングカズは引退しないのか?

ではカズは引退しないのか。この点については「本人しか知らない」でしょう。むしろカズ自身も分からないのかもしれません。一般論ですがプロスポーツ選手は「必要とされる限りは続けられる」ものです。

しかし本来であればスポーツ選手としての実力がその対象ですが、カズに関してはその知名度が求められています。少々悪い言い方をすれば「客寄せパンダ」ですが、カズ自身もその点については自覚しているとも伝えられています。だとすると、ともすれば現役の日本代表選手よりも高い知名度を誇る選手なのです。

自ら辞めない限り、スポンサーは途絶えないんじゃないかな…と。

つまり、永遠にサッカーを続けられる環境にあるということです。スポーツは実力の世界ではありますが、一方でショービジネスとしての性質も備えています。カズはグランド外においては「他のどの選手よりもお金を集めることができる選手」であることは間違いありません。

グランド内と外のそのギャップが反感に繋がっていますが、カズはメンタルの強さでも知られています。そのため、本人が納得するまで現役を引退することはないでしょう。



まとめ

カズが57歳まで現役を続けていることに対し、様々な声があります。しかし、たとえそれが実力以外の部分ではあっても「必要とされている」ことは間違いありません。そしてカズの知名度は、カズ自身が積み上げたものです。

一方で、実力という点では成績を残せていないのも事実。スポーツ選手の「引き際」をいろいろと考えさせてくれるトピックですね。

ちなみに管理人はカズが好きです。中学生くらいのころ、床屋にサッカーマガジンのカズのポスターを持って行って「これにしてほしい」とリクエストしたこともあります(笑)

ただ、じゃあ今のカズを無条件で応援できるのかと言われると難しいのも事実。決して批判したいということではないんですけど、どのような感情を向ければよいのか分からないというのが本音でしょうかね…。