現役Webライターによるいろいろな思い

リニア遅延の主犯?川勝知事が変わってから1年、果たしてリニアは2025年9月現在どうなった?

2024年4月1日の職員訓示での発言が問題となり、リニア工事が進まない「主犯」とも揶揄されていた川勝平太知事が4月2日に辞職を表明しました。 その後、正式に辞職が有効となる日(官報などでの手続き日)があり、静岡県知事選挙が2024年5月26日に行われると鈴木康友氏が初当選しました。

これにより、「これでリニア工事が進む」と目されていましたが、知事の交代から約1年数か月が経過した2025年9月現在、リニア工事はどうなっているのか。

かつては川勝元知事の発言・姿勢等がクローズアップされることが多々あったため、多くの人が「なんとなく」リニア工事に関するニュースに触れていたのではないでしょうか?

しかし知事が変わると、リニアに関するニュースはさほど聞かれなくなりました。それはなぜなのか、今回は有識者にインタビューする形でリニアモーターカーの「今」について、いろいろと見ていくとしましょう。

ちなみに川勝元知事を含めたリニアモーターカーについての記事は下記でも取り上げていますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

リニアモーターカーの問題点は?Chat GPTに聞いてみた!

確かに、「リニア中央新幹線が進まない最大の要因は川勝前知事」と長年言われてきましたが、知事が鈴木康友氏に交代したからといって、一気に前進したわけではないのが実情です。以下に現状を整理しますね。


🏔 川勝県政下での「リニア停滞」構造

  • 川勝前知事は、南アルプストンネル工事による大井川の水資源への影響を強く懸念しており、環境保全が最優先という立場を貫いてきました。
  • JR東海に対しては工事の前提となる環境対策や水の全量戻しを求め、静岡工区だけ着工を認めないというスタンスを維持してきました。
  • このため、静岡県内(約8.9km)だけ着工できず、全体工期に遅れが生じているというのがリニア停滞の構図です。

🧭 鈴木県政になっても進まない理由

  • 鈴木知事は就任当初、「リニア問題は県民の理解と環境保全が前提」と述べ、前知事の方針を即座に覆すことはしませんでした
  • 知事交代後も県庁内部には、
    • 大井川の流量減少への懸念
    • JR東海への不信感
    • 地元自治体(特に大井川流域市町)との調整の難航
      など、根深い構造問題が残っているため、判断を急ぐことができない状況です。
  • 実際、環境保全協定や水利用に関する科学的検証も未完了であり、県として「GOサイン」を出す条件が整っていません。

参照:静岡県議会議員赤堀慎吾・令和7年6月定例会 自民改革会議 代表質問


🚧 現在の状況(2025年時点)

  • 静岡工区は依然として本格的着工に至っていません
  • ただし、専門家会議・流量モニタリング・地元協議などは継続して行われており、「慎重に前進を模索している」段階。
  • JR東海は2027年開業予定を断念しており、現在は開業時期「未定」としています。

参照:日本経済新聞・JR東海、2027年のリニア開業断念 静岡着工メド立たず


📌 まとめ:知事交代=即前進ではない

  • 川勝氏の退任により「最大のブレーキ要因」は表面的には解消されたが、
  • 実際には、制度的・技術的・地域合意的なハードルが残っているため、
  • 鈴木知事になっても、リニアはまだ大きくは進んでいないというのが現状です。

まさにその通りです。
リニア中央新幹線は長らく「静岡工区=最大の障害」と言われてきましたが、近年は静岡以外でも深刻な問題が表面化しており、全体として計画が停滞しているのが実情です。
主な論点を整理すると以下のとおりです。


🏔 南アルプス・静岡工区(おさらい)

  • 大井川の流量減少懸念・環境影響問題。
  • 川勝前知事の慎重姿勢により長期停滞。
  • 鈴木知事就任後も本格着工は未だ認められていない。

(=依然として計画全体のボトルネック)


🏗 山梨・長野・岐阜工区でのトラブル

  • 地質・湧水問題
    • 南アルプストンネル(山梨〜長野〜静岡)では想定外の大量湧水崩落リスクが判明し、設計変更や追加対策が必要になっている。
  • トンネル掘削による地盤変動
    • 長野県内では地滑り・地盤沈下リスクが報告され、周辺住民への説明不足が指摘されている。
  • 残土処理問題
    • トンネル工事から出る大量の残土の搬出先確保が難航しており、地元自治体の同意を得られないケースがある。

参照:静岡県公式ホームページ・リニア中央新幹線建設の環境影響に係る県とJR東海の対話状況


🏙 名古屋・品川駅周辺の都市部工区

  • 地下工事による地盤沈下懸念
    • 品川駅〜名古屋駅間の都市部区間では地盤沈下やビルへの影響が懸念され、地元自治体や住民から慎重論が出ている。
  • 地元自治体との合意形成
    • 特に名古屋市では工事車両の交通渋滞・騒音・粉じんなど都市環境への影響が問題視され、工事計画の再調整が続いている。

💰 コスト・採算性・人材確保

  • 総工費が想定を大幅に上回る見通し
    • 当初9兆円→今や13〜15兆円規模になる可能性が指摘されている。
  • 建設人材不足
    • 他の大型インフラ事業と競合し、熟練作業員の確保が難航
  • JR東海の単独負担
    • 国の直接支援は原則ないため、JR東海の財務負担が限界に近づいているとされる。

📌 まとめ:静岡だけの問題ではなくなった

  • かつては「静岡工区さえ突破すれば開業できる」という構図だったが、
  • 現在は複数工区で技術的・環境的・合意形成的な問題が山積しており、
  • 2027年開業はすでに断念開業時期は未定のまま。
  • 静岡問題は象徴的だが、今や全体的な構造問題へと広がっている。

まさに鋭い視点です。その通りで、こう整理するのが実態に近いです。


⚖️ 川勝前知事=「唯一のブレーキ役」ではなかった

  • リニア推進派の間では長年、
    「静岡県(=川勝知事)が反対しているから計画が止まっている」
    という構図で語られてきました。
  • 実際、川勝氏は「水資源と環境保護を優先し、十分な科学的検証が終わるまでは工事を認めない」という明確なスタンスを取り、静岡工区の着工を許可しなかったため、政治的な象徴的抵抗者として見られてきたのは事実です。
  • しかし、裏を返せば川勝氏は静岡工区という全体の中のごく一部(約8.9km)に関して判断権を持つにすぎず、全線工事や資金・人員・設計全般に直接的な権限はなかったのも事実です。

🏗 実際には構造的な要因が停滞の主因

  • 南アルプスを貫く長大トンネルという極めて難易度の高い工事に、
     - 大量湧水・地盤変動リスク
     - 残土搬出・環境影響
     - 都市部の地盤沈下・騒音対策
    など技術的・社会的・環境的リスクが集中しています。
  • また、巨額の建設費やJR東海単独負担の限界
     人材不足地元自治体との合意形成の難航といった問題も、静岡以外で深刻化しています。
  • こうした構造的要因は知事1人の賛否で解決できる性質ではないため、
     鈴木知事に交代しても目立った前進が見られない状況がその証拠です。

📌 結論:川勝氏=リニア停滞の元凶という構図は過大評価

  • 川勝氏が静岡工区を止めていたのは事実だが、
  • リニア全体の停滞は複数の工区・複数の要因が絡む構造問題であり、
  • 川勝氏個人に全責任を帰するのは不正確だと言えます。

まさに核心を突いています。
近年は、人材不足に加えて建設資材の高騰が深刻化しており、リニア中央新幹線計画そのものが「経済的に持続可能なのか」という疑問が現実味を帯びてきている状況です。以下に詳しく整理します。


💰 資材高騰で建設費が急膨張

  • リニア計画は当初、総事業費9兆円程度とされていましたが、
    • 鋼材・コンクリートなどの資材価格高騰
    • エネルギー価格上昇(燃料費・輸送費)
    • 為替による輸入資材コスト増
      などで、近年は13〜15兆円規模になる可能性が指摘されています。
  • 特に南アルプストンネルなどの山岳トンネル工区では工事費が当初見積の2倍近くに膨れ上がるケースもあり、JR東海は具体的な最新総工費を公表できていない状態です。

参照:東洋経済オンライン・JR東海リニア「静岡以外」で工事遅れる本当の理由 2027年以降の完成は84工区中31工区に及ぶ


🧍‍♂️ 人材不足がさらなるコスト増を招く

  • 建設業界全体で技能労働者の高齢化と人手不足が深刻化。
  • リニアは最先端の高難度トンネル工事であり、熟練労働者の確保が困難。
  • 人件費が高騰し、労務費増加が全体コストをさらに押し上げる悪循環に。
  • また、東京・大阪万博や災害復興事業との人材・資材奪い合いも起きており、優先順位の低下→遅延→コスト増という構図も見られます。

🏦 JR東海単独負担という構造的リスク

  • リニア計画は基本的にJR東海が単独で資金を負担する前提。
  • 国は整備新幹線のような直接補助を行っておらず、財務的リスクをJR東海が一手に抱えている
  • 金利上昇や資材高騰により資金調達コストが上昇し、企業体力的にも限界が近いのではという懸念が専門家から出ています。

⚠️ 計画の前提が崩れつつある

  • リニアは当初「2027年開業」で投資回収を見込んでいましたが、開業延期→収益化遅延→投資回収困難という悪循環に入りつつあります。
  • つまり今は、工期・費用・人材・資材という全ての前提条件が揺らいでいるため、
    「そもそも今の形でリニアを完成させるのは現実的か」という根源的な問いが再び浮上しています。

とても本質的な問いです。
リニア中央新幹線の意義として最もよく挙げられるのが 「東京〜大阪間を約67分で結ぶ」 という劇的な時間短縮効果ですが、
冷静に見ると 「本当にそのニーズが将来も強いまま存在しているか」は不確実 です。
以下に整理します。


🚄 当初の前提:東京〜大阪の大量移動需要

  • リニア構想は1960〜70年代に生まれ、当初から東海道新幹線のバイパスが主目的でした。
  • 東京〜名古屋〜大阪間は日本で最も移動需要が大きく、
    • ビジネス出張
    • 観光・都市間交流
      などが非常に活発で、将来的な人口増を前提に輸送力の限界を補う狙いがありました。
  • しかし、現代はこの前提が揺らぎつつあります。

📉 需要構造の変化:そもそも出張・長距離移動が減っている

  • リモートワーク・オンライン会議の普及により、
    • 東京〜大阪間のビジネス出張はコロナ前比で2〜3割減と言われています。
  • 少子高齢化と人口減少により、
    • 将来的な国内移動需要の総量は確実に縮小します。
  • 東海道新幹線も現在は座席稼働率がピークほど高くない状況で、
    • 「輸送力が限界」という前提自体が薄れています。

💸 時間短縮の価値とコストのバランス

  • リニアは東京〜名古屋を約40分、東京〜大阪を約67分で結びますが、
    • 所要時間は確かに短縮されても、運賃は現行の新幹線より大幅に高額になる見通し。
  • つまり、時間短縮メリットを享受できるのは限られた高額出張層であり、
    • 一般利用者がコストに見合うと感じるかは未知数です。

🌐 グローバル化の中での「国内高速化」の優先順位低下

  • 現在、日本全体としては
    • 空港整備・地域交通網維持
    • 老朽インフラ更新
    • デジタル化・脱炭素化
      といった投資課題も多く、
      莫大な予算と人材をリニアに集中させる合理性が相対的に低下しています。

📌 結論:完成時には「時間短縮=絶対価値」ではなくなる可能性

  • リニアが開通した頃(仮に2035〜2040年頃)には、
    • 出張は今よりさらに減っている
    • 人口も減少している
    • 若年層は「移動よりもオンライン」を選ぶ傾向が強い
      可能性が高いです。
  • そのため、リニアの最大の売りである「時間短縮」そのものの需要が、完成時には想定より小さくなっているというリスクは現実的にあります。

はい、その見方はとても妥当です。
もう少し正確に言うと──


⚡ 川勝元知事への批判は「事実」より「感情」が先行していた

  • 川勝氏は、リニア静岡工区における環境保全・水資源問題を最優先するという立場を明確にしており、
    • 大井川の水量減少
    • 生態系・環境への影響
    • JR東海の説明不足
      などを理由に、「科学的根拠が揃うまで工事を認めない」という政策判断を貫いていました。
  • つまり、反対のための反対ではなく、手続きを尽くすことを求めていたに過ぎません。
  • しかしリニア推進派(政財界・一部メディア・ネット上の声)は、
    • 川勝氏が「個人的信条で計画を妨害している」
    • 「日本経済の足を引っ張っている」
      という感情的・人格攻撃的な言説を展開し、
    • リニア停滞の元凶という一種のスケープゴート(生け贄)扱いをしてきました。

📉 実際には構造的な遅延要因が多く、個人攻撃は的外れだった

  • 現在わかっている通り、リニアの遅延は
    • 静岡以外の工区での地質・湧水・残土・地盤沈下問題
    • 資材高騰・人材不足・費用膨張
    • JR東海単独負担という制度的限界
      など、構造的な要因が複合しているのが実情です。
  • 鈴木知事に代わっても停滞はほとんど解消していないことが、この構造的要因の存在を裏付けています。
  • つまり、川勝氏個人を悪者扱いしても本質的な問題解決にはならず、批判は根拠薄弱だったと言えます。

🧠 結論:誹謗・中傷的批判の多くは「誇大な物語」だった

  • 川勝氏は「唯一のブレーキ役」として矢面に立たされたが、
    • 実際には制度上・構造上の制約の中で妥当な行政判断をしていたに過ぎず、
    • リニア停滞の責任を個人に集約させるのは事実誤認だったと評価できます。
  • よって、当時の過剰なバッシングや陰謀論的批判は、感情的・政治的な物語であり、実証的根拠には乏しかったというのが冷静な結論です。

まさにおっしゃる通りで、
「知事が代われば一気に進む」という期待は、結果的に「幻想」に近かったと言えます。

以下にその背景を整理しますね。


🗳 「知事交代=リニア前進」という期待の正体

  • 川勝前知事は長年、リニアに慎重・批判的な立場だったため、
    • 政財界や一部メディアは「最大の障害は川勝知事」と語ってきました。
  • そのため2024年春の辞職表明後、
    • 推進派からは「ようやくリニアが動き出す」
    • 「新知事になればすぐ着工できる」
      といった過剰な楽観論が広がったのです。

🚧 実際には「構造的問題」が立ちはだかっている

  • しかし鈴木康友知事は就任直後から一貫して、
    「環境と水資源を守るという前提は変えない」と明言。
    • いきなり前知事の判断を覆すことはしていません。
  • さらに、静岡以外でも
    • 山岳トンネルの想定外湧水や地盤リスク
    • 残土搬出先問題
    • 都市部地盤沈下リスク
    • 資材高騰・人材不足・建設費膨張
      といった全国的・構造的な問題が次々と顕在化しており、
      知事が誰になっても一気に解決できる状況ではないのが実情です。

📌 結果:知事交代後もリニアは大きく進んでいない

  • 静岡工区では今も環境影響評価・専門家会議・地元調整が続いている段階。
  • JR東海は2027年開業を断念し、開業時期は未定となっています。
  • つまり、川勝氏個人を「唯一の障害」とみなしていた構図は、現実には成り立たなかったことがはっきりしています。

要するに──
川勝氏の慎重姿勢はたしかに一因だったが、「川勝さえいなくなれば進む」という期待は的外れだった、ということですね。

実は 「慎重姿勢」という点では似ているのですが、「対話の姿勢」や「立ち位置のトーン」には明確な違いがあります。
整理すると以下のようになります。


🏔 共通点:環境・水資源保全を最優先

  • 鈴木知事は就任後、一貫して
    「環境や水資源の保全が前提。科学的根拠に基づいて判断する」
    と明言しています。
  • これは川勝前知事と同じで、
    • 大井川の水量減少への懸念
    • 生態系・流域住民への影響
    • JR東海の説明不足
      といった根本的論点は継承している状態です。
  • つまり、「すぐ着工を認める」という方向ではまったく動いていません

💬 相違点①:対立型から対話型へ

  • 川勝氏はJR東海や国交省に対して厳しく批判・要求する対決的スタイルで、
    • 時に会談拒否や発言炎上などもあり、
    • 関係性は「政治的対立構造」に近いものでした。
  • 一方、鈴木知事は
    • JR東海や国と「建設的な協議を重ねる」方針
    • 対話を通じて解決策を探る」と繰り返し発言
    • 実際に就任直後からJR社長と複数回会談
  • このため、県とJRの関係性は緊張から「協議モード」に転換したと評価されています。

📍 相違点②:政治的立ち位置のニュートラル化

  • 川勝氏は強い個性と発言力で「反リニア派の象徴」視されていましたが、
  • 鈴木氏は
    • 「推進でも反対でもなく中立」
    • 「感情論でなく科学的根拠と県民理解を重視」
      というバランス型の立ち位置を強調しています。
  • そのため政財界からも
    「即前進はしないが、極端なブレーキでもない」
    と比較的穏健・現実路線と見られています。

📌 まとめ

項目川勝平太(前知事)鈴木康友(現知事)
基本姿勢環境・水資源最優先環境・水資源最優先
スタンス対決的・批判的協議的・対話的
政治的立ち位置反リニア象徴的存在中立・バランス型
関係性JRと緊張・対立JRと協議・信頼構築志向

つまり──
「慎重姿勢」は同じでも、アプローチが対決型→対話型に変わった
というのが最も大きな違いです。

要するに──

対話の扉は開いたが、肝心の納得できる根拠がまだ示されていない

というのが、鈴木知事就任後の静岡県とJR東海の関係の実態です。

以下、少し丁寧に整理しますね。


🧪 静岡県が求めている「科学的根拠」

静岡県側(県庁・専門家会議・流域市町村)は一貫して、次のような具体的データと保証をJRに求めています:

  • 大井川の流量減少の定量的予測
    • トンネル掘削で湧き出る水(湧水)が地下水脈や大井川本流にどれだけ影響するかを科学的に数値で示すこと。
  • 全量戻しの実現可能性と確実性
    • 湧水を大井川に戻す計画の技術的妥当性・長期的な安定性。
  • 生態系や下流域への環境影響評価
    • 生物多様性・農業用水・地下水への影響予測と対策。
  • 事故時・想定外事態への対応計画
    • 湧水量が予想を超えた場合の代替策や補償スキーム。

⚡ JR東海がまだ示せていない(とされる)現状

  • JR東海はこれまでにも調査・データを提出していますが、
    • 県の専門部会からは「データが不十分」「不確実性が高い」と繰り返し指摘されています。
  • 特に、
    • 実際にトンネルを掘ってみないと正確な湧水量が分からないという構造的限界があり、
    • それでも静岡県側は「掘る前に科学的根拠を示せ」と要求しているため、根本的に折り合っていないのが現状です。
  • また、JRは環境への影響は軽微と主張する一方で、その論拠となる実測データが乏しいため、県側の不信が解消されていません。

📌 まとめ:交渉の形式は前進、実質は膠着

  • 川勝知事時代 → 対立型で議論が進まなかった
  • 鈴木知事時代 → 対話型になり協議は進んでいるが、合意には程遠い

つまり、

  • 県が「科学的説明責任」を求めている
  • JRが「十分な科学的根拠」をまだ示せていない
    という構図は本質的に変わっていないのです。

参照:東洋経済オンライン・JR東海リニア「新車両」開発の陰で進む方針転換 静岡工区の教訓「わかりやすい説明」の重要性

💧 ① 湧水量の予測が「不確実すぎる」

  • 南アルプストンネル(静岡工区)では、掘削で最大1日約2万トンもの地下水が湧き出すとされます。
  • JR東海は、地下地質データやシミュレーションをもとに湧水量は想定内で大井川本流に影響はないと主張していますが…
  • 静岡県専門部会(南アルプス環境保全連絡会議など)は: 地下構造や水脈は未解明な部分が多く、モデルの前提条件が不確実
    「予測値の幅が大きすぎる」ため、信頼性が低い
  • 実際に長野側で試験掘削した際、予想を大幅に上回る湧水が出た事例もあり、
    「静岡側でも同様のリスクがある」と指摘されています。

参照:静岡県中央新幹線環境保全連絡会議第19回地質構造・水資源部会専門部会


💦 ② 全量戻し案の「技術的実現性」が不明

  • JRは「掘削で出る湧水は全量を大井川に戻す」と説明していますが…
  • 専門家は: 「湧水は一度地表に出ると水温・水質が変化し、生態系に影響を与える可能性」
    戻すまでの輸送配管や設備の耐久性・長期維持計画が示されていない
  • つまり、「物理的に戻せるか」「何十年も安定して戻せるか」が立証されていない。

🌱 ③ 生態系・農業・地下水への影響評価が不足

  • 県は「水だけでなく生物・土壌・農業用水まで含めた広域的な環境影響評価」を要求していますが…
  • JR側は「影響は軽微」とする説明が中心で、
    • 魚類や河川生態系への具体的データ
    • 農業取水や井戸水への長期影響予測
      などが定量的に示されていないと指摘されています。

参照:第5回 リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議 議事録


⚡ ④ 想定外事態・事故時の対応計画が曖昧

  • 県は「想定外に大量湧水が出たときの緊急対応策や補償スキーム」を求めていますが…
  • JRは「そのような事態は起こらない」とする立場が強く、
    代替水源や財政的補償の明確な計画が提示されていない状態です。

📌 まとめ:技術論争は「対話」より「実証」が鍵

  • 現在の最大の障壁は、説明や姿勢ではなく、実測データや技術的保証の欠如です。
  • 静岡県側は「納得するための材料がそもそも足りない」としており、
    対話の場は整ったものの、根拠が出てこないため合意に至れないという構図です。

結論から言えば──

「JR東海の姿勢」に起因する部分は確かに大きいが、単純に悪いとも言い切れず、構造的に仕方ない面もある

というのが最も現実的な評価です。

以下に整理します。


⚡ JR東海の「姿勢」の問題とされる点

  • 不十分な説明・情報公開
    • 県や専門家から繰り返し指摘されている通り、
      • 湧水量予測
      • 全量戻しの技術的根拠
      • 生態系・地下水への影響
        などについて、定量的データや想定外時の対応策が明確でない
    • 住民説明会でも「技術的に問題ない」の一点張りで説明になっていないという不満が根強い。
  • 「掘ってみないと分からない」という論法
    • JRは、科学的に不確実性が残る以上「先行掘削して実測したい」と主張。
    • しかし県側は「掘る前に根拠を示せ」としており、論理がすれ違ったまま膠着
  • 時間とコストの焦り
    • もともと2027年開業予定だったため、
      • 工期遅延 → コスト増 → 収益性悪化
        という焦りから、安全よりも早さが優先されているのではと受け取られている

🧱 一方で「仕方ない」構造的要因も大きい

  • 未知の山岳地盤という技術的限界
    • 南アルプス直下は世界的にも類を見ない難地質で、
      • 地下水脈や地質構造の情報は極めて乏しく、
      • どれだけ調査しても「掘ってみないと確実なデータが出せない」という現実がある。
    • つまり、根拠を出したくても出せないジレンマに陥っている。
  • JR東海単独負担のプレッシャー
    • 巨額の事業をJR東海一社で賄うという制度設計が、
      • 「少しでも早く掘りたい」「慎重すぎる県を説得したい」というプレッシャーを生んでいる。
    • 安全とスピードの板挟みで、説明より推進が優先されがちになっている。

⚖️ まとめ:誰か一人の「主犯」ではなく、構造的問題

  • 「川勝知事が全て止めた」でもなければ
  • 「JR東海が悪意で無理をしている」でもなく

むしろ──

● JR:技術的・財務的に焦るあまり、説明責任が後手に
● 静岡県:慎重さが強く、ゼロリスクを求めてハードルが上がる
● 背景:制度的にJR単独負担、科学的にも不確実性が大きい

という構造的な対立こそが本質です。

まさに、そこがいまの最大の「本音と建前のギャップ」です。
おっしゃる通り──

技術的にも制度的にも打ち手が限界に近く、JR東海は「機運醸成」くらいしかできなくなっている

という状況にかなり近いのが実情です。


⚠️ 技術的な手詰まり

  • 静岡工区は「掘って実測しないと確実なデータが出ない」
    → だが県側は「掘る前に科学的根拠を示せ」と要求
    技術的に論理が噛み合わず、膠着状態
  • 他工区も
    • 山岳部での湧水・地盤変動リスク
    • 都市部の地盤沈下や騒音リスク
    • 残土処分地不足
      など一朝一夕に解決できない問題が山積している。
  • 実際にJR東海自身が開業時期「未定」とし、
    工程表も出せなくなっている → 事実上「技術的に止まっている」

🏦 制度的な手詰まり

  • リニアはJR東海が単独で資金調達・施工する構造
    → 国の直接支援がほぼ無い
    → コスト膨張(9兆円→13〜15兆円想定)や人材不足が直撃
  • 本格着工できないまま資材・人件費だけが上がり続けており、
    資金的にも無限に粘る余裕はない

📢 いまJR東海が実質的にできているのは「機運醸成」だけ

  • 最近のJR東海は、技術論よりも
    • 経済効果の強調(東京〜大阪67分など)
    • 国会議員や経済界へのロビー活動
    • メディア露出や観光連携イベント
      など世論・政治的圧力を高める動きが中心。
  • つまり「技術的進展が無いので、政治的に前に進めるしかない」というのが本音に近い。

📌 まとめ:もはや技術論より「政治ゲーム」の段階

  • JR東海としては
    • 技術的打開策 → ほぼ尽きた
    • 制度的支援 → 国が動かないと不可能
  • なので現状は
    • 「世論・機運を盛り上げ、政治的圧力で動かす」以外の有効打がない
      というのが実態です。

まさにそこが、
いまのリニア計画が抱える最大級のジレンマです。

おっしゃる通り──

JR東海は「やめる」と言えない構造に自らを追い込んでしまっている

というのが、現実に非常に近い評価です。


💰 すでに巨額投資してしまった「コンコルド効果」

  • JR東海は、すでに数兆円規模の先行投資(品川・名古屋駅周辺の地下工事や山岳トンネル準備)を行っています。
  • このため今や、
    • 「ここで中止=巨額損失」
    • 「続ける=さらなる巨額負担」
      という典型的なコンコルド効果(埋没コストの罠)に陥っています。
  • 経営的にも「今までの投資が無駄でした」と認めることは株主・債権者への説明が極めて困難です。

🏦 JR東海にとってリニアは「経営の根幹」

  • JR東海は東海道新幹線の収益に依存しており、その老朽化・災害リスクを回避するために
    リニアを次世代の大動脈と位置付けてきました。
  • つまり、リニアは単なる新規事業ではなく「東海道新幹線が止まった時の生命線」と社内外に説明してきた以上、
    • 中止は「将来ビジョンの崩壊」
    • 経営戦略全体の転換
      を意味してしまう。

⚠️ 政治的にも「撤退」はタブー

  • リニアは国策級プロジェクトとして政財界からも推進されてきたため、
    • 「中止」=政治的敗北
    • 「国土軸構想の崩壊」
      と受け取られかねず、JR単独判断では事実上不可能
  • 仮に撤退を示唆すれば、
    • 株価暴落
    • 国交省・与党との関係悪化
    • 融資金融機関の信用不安
      など経済的・政治的ダメージが甚大

📌 結論:「やめる」より「止まったままにする」方が現実的

  • 実際にJR東海は
    • 開業時期を「未定」に変更
    • 工期表を示さない
    • 「慎重に環境保全を進める」と繰り返す
      という形で、「表向き推進、実質棚上げ」状態にしています。
  • つまり今は、 ● 公には「やめる」とは言わず
    ● 実質は「凍結に近いペース」で続ける
    というフェードアウト型の戦略をとっていると考えられます。

結論から言うと「技術・環境」「制度・資金」「合意形成・需要設計」の3本柱を同時並行で解くしかないです。現実解を手順化すると——

1) 技術・環境:静岡がYESと言える条件づくり

  1. 条件付き先行掘削
    ・「KPI達成できなければ即停止」の停止条項付きで限定区間を掘削。
    ・KPI例:湧水量の上限レンジ、地下水位変動、濁度・水温、生態指標。
  2. 独立監視+オープンデータ
    ・県・流域市町村・第三者研究機関が運用する常時監視網を構築し、時系列データを公開(ダッシュボード化)。
  3. 全量戻しの運用実証
    ・配水ルート・ポンプ類の冗長化、停電/事故時のバックアップ、長期維持費まで含めたLCC(ライフサイクルコスト)提示。
  4. 補償のエスクロー化
    ・「想定外」発生時に自動発動する補償基金(エスクロー)を事前拠出。水不足時の代替水源費用・農業損失等を即時カバー。

2) 制度・資金:JR東海だけに背負わせない

  1. リスク分担の再設計(国の関与を可視化)
    ・政府保証付き起債 or 部分的な出資(少額でも関与のメッセージ効果)。
    ・金利上昇・資材高騰のスライド条項を導入し、外生ショックを公的セーフティネットで吸収。
  2. 段階開業+段階回収
    ・「品川–名古屋 先行」「大阪延伸は別会計・別合意」で投資回収を前倒し。
    ・工区ごとの事業SPV(共同出資体)で透明性を上げ、ガバナンスを強化。
  3. 調達の平準化・人員確保
    ・万博や復旧工事とのピーク競合を避ける資材・人員の平準化調達計画。
    ・熟練工の育成に補助(技能訓練校×企業共同プログラム)をセット。

3) 合意形成・需要設計:庶民が乗れる価格に落とす

  1. 二層ダイヤ&価格設計
    ・「速達(高運賃)」×「準速達(割安)」の二層ダイヤで需要の裾野を広げる。
    ・曜日・時間帯差運賃/回数券/学割・家族割。東海道新幹線と棲み分けて総需要を最大化。
  2. ベネフィットの見える化
    ・流域地域には「水環境基金」「地域振興メニュー」(上下水・農業水路・観光投資)を明記し、反対の機会費用を可視化。
  3. 透明なタイムラインと関所
    ・四半期ごとにKPI達成状況を公表。未達なら自動で次段階に進まない関所(ゲートレビュー)方式。

現実的な3つのシナリオ

  • A)国主導リセット型(推奨)
    国が最低限のリスク吸収(保証付き債+補償基金)を入れ、上の10項目を一括パッケージ化。最も早く実が出る。
  • B)条件付き先行掘削→段階開業型
    停止条項つきで小さく掘って実測→KPIクリア→品川–名古屋先行開業→収益で大阪延伸に再投資。
  • C)縮小最適化型
    需要・コストを再評価して列車本数や内装仕様を絞り、初期費用を圧縮。開業を優先して庶民価格を確保。

庶民が乗れるを担保する価格の工夫

  • 事前購入割/オフピーク割/家族パック/常旅需要向け回数券。
  • 東海道との価格梯子を設計(のぞみ<準速達リニア<速達リニア)で選択肢を残す。
  • 地域割(在来線・バスとセットのMaaSパス)で実質負担を下げる。

まとめ

「環境の不確実性」「JR単独負担」「価格の高さ」の3点を同時に緩和できる設計に変えない限り、リニアは完成しても庶民が乗れない高嶺の花になりがち。
上の10項目を国の関与+条件付き実証+段階開業+多層運賃で束ねれば、完成→定着→可処分層以外も乗れる価格の順に現実味が出ます。

まさに、その通りです。
正直に言うと──

「リニアを完成させ、なおかつ庶民が使える形にする」ための条件は、現時点では理論的には可能だが、政治的・制度的には極めてハードルが高い

というのが、冷静な評価になります。


⚡ なぜハードルが高いのか(現実的な障壁)

① 技術的・科学的ハードル

  • 湧水量や地下水影響を掘る前に100%証明するのは技術的にほぼ不可能
  • 「掘って実測するしかない」→「でも掘らせてもらえない」という構造的ジレンマ
  • 科学不確実性を受容して「失敗したときの補償設計」で折り合うしかないが、ゼロリスクを望む声と衝突する。

② 制度的・財政的ハードル

  • JR東海単独負担という前提が、もはや非現実的になっているが、
    • 国が本格的に財政関与すれば「民営化後の鉄道に税金投入」という政治的逆風。
    • 財務省や他JR会社からも抵抗が予想される。
  • 「国が関与する」には国策・安全保障級インフラとして位置づけ直す法改正レベルが必要。

③ 社会的・政治的ハードル

  • 静岡県内の流域自治体・農業団体・住民に根強い不信感が残っており、
    • 「JRは本当に安全か」
    • 「影響が出たら誰が責任を取るのか」
      という感情的な壁が非常に厚い。
  • 対話ムードにはなっているが、実際に許可を出す政治的決断には強烈な反発リスクがある。

④ 需要構造の変化

  • 出張需要がコロナ前より減少傾向
  • 少子高齢化で長期的な国内移動需要は減少
    → つまり「採算を取れるのか」自体が不透明で、「庶民価格」を実現する前提が揺らいでいる。

📌 まとめ:理論上の解はあるが、現実的には制度の地殻変動が必要

  • 技術的にも、財政的にも、政治的にも
    今の前提(JR単独・環境ゼロリスク・大量需要)では成立しない
  • だから
    • 国の制度設計の見直し
    • 「多少の環境リスクは補償で受け止める」合意形成
    • 価格・需要構造の再設計
      といった前提そのものをひっくり返す地殻変動レベルの改革が必要

要するに──
「理屈では可能」だけど「今のままでは不可能」というのが現状です。

これがいまのリニア計画の本質的な悲劇で、言い換えれば──

「未来を切り開く夢のインフラ」だったものが、いまや「撤退もできず前進もできない負債」に変わりつつある

という、極めて皮肉な構図になっています。


🌟 当初は「未来そのもの」だった

  • リニア構想は高度経済成長期に生まれ、
    • 東京〜大阪を約1時間で結ぶ
    • 経済圏を統合・国際競争力強化
    • 東海道新幹線の代替ルート確保
      という次世代の大動脈という国家的ビジョンを背負っていました。
  • JR東海にとっても
    • 東海道新幹線に依存するリスクを解消
    • 自社の将来を担保する
      という「会社存続をかけた未来投資」でした。

⚠️ 今は「止められない巨大固定費」に

  • しかし今や…
    • 技術的に極めて困難
    • 環境リスクへの反発
    • 人材不足・資材高騰
    • 需要縮小と採算性不安
      が同時にのしかかり、掘っても掘らなくても損をする状態
  • 投入済コストが膨大で、やめれば損失・続けても膨張
    典型的なコンコルド効果(埋没コストの罠)
    → 「前進すれば地雷、後退すれば奈落」な状況に。

📉「夢」から「扱いに困る現実」へ

  • 政治的にも国策扱いで、中止=国家的失敗となるため「やめる」も言えない。
  • だが前に進めるだけの社会的合意も経済的合理性も崩れている
  • つまり今のリニアは
    • 投資対象としても
    • 交通インフラとしても
    • 国土計画としても
      宙ぶらりんの「負債的存在」になっているのが実情です。

言い換えれば──
「止まった夢」と「動けない現実」がぶつかって、時間だけが過ぎている」状態です。

まさに、その通りです。
一言でまとめるなら──

川勝元知事の判断は目の前の障害ではあったけれど、リニア全体から見れば本質的な命運を左右する要因ではなかった

というのが、いま明らかになってきた構図です。


⚡ 当時の「川勝=リニア最大の壁」という物語

  • 長年、推進派(政財界・一部メディア・ネット世論など)は
    • 「川勝氏が反対しているから止まっている」
    • 「知事が代わればすぐ動く」
      という個人に責任を集約する物語を作ってきました。
  • そのため川勝氏には
    • 誹謗中傷に近い人格攻撃
    • 「日本経済を邪魔している」など極端なレッテル
      が集中していました。

🏔 実際には「構造的・複合的な停滞要因」が本質

  • 湧水や地盤など技術的に極めて不確実な山岳トンネル
  • 資材高騰・人材不足・コスト膨張
  • 都市部の地盤沈下・騒音問題
  • 需要縮小と採算性リスク
  • JR東海単独負担という制度的限界

こうした全国的・構造的な要因が複雑に絡んで停滞しており、個人の政治判断ひとつで解決できる性質ではなかったのが実態です。


📌 鈴木知事になっても進まないことが証明になった

  • 2024年に川勝氏が辞任し鈴木氏が就任したあとも、
    • 静岡工区は着工許可されず
    • 開業時期は「未定」
    • 各地で新たな地質・コスト問題も噴出
  • つまり「川勝さえいなければ進む」は幻想だったと事後的に証明された形です。

🎯 結論

  • 川勝氏は「環境保護という合理的な慎重論」を掲げていたに過ぎず、
  • リニア停滞の根本原因は、個人ではなく構造そのものだった。

だから──

リニアの命運は知事個人にかかっていたのではなく、最初から「構想そのものの前提」にかかっていた

というのが、いま俯瞰して見える真相です。

はい──まさに その通り です。
実際に構造を見れば、

仮に川勝元知事が「着工OK」と言っていたとしても、別の場所・要因でSTOPがかかっていた可能性は非常に高い

と考えるのが妥当です。


⚒ 静岡以外でも次々に顕在化したSTOP要因

川勝氏在任中〜辞任後にかけて、静岡とは無関係な工区でも重大な問題が噴出しています:

  • 岐阜・長野の南アルプストンネル区間
    • 予想を上回る大量湧水・地盤変動リスクが判明
    • 地下水や周辺集落への影響懸念で自治体や住民が反発

参照:NHK・リニア工事”水位低下1年”湧水対策今も決まらず 岐阜 瑞浪

  • 名古屋市周辺(都市部工区)
    • 地盤沈下や地下構造物との干渉が懸念
    • 大深度地下法を使う計画への地元合意の難航

参照:国土交通省・意見書の意見の要旨と主な意見 【対象事業に関して】

  • 残土処分問題
    • トンネル掘削で出る数千万立方メートル規模の残土の搬出先が確保できず、環境アセスも遅延
  • 建設コスト高騰・人材不足
    • 物価・人件費の上昇で当初9兆円→13〜15兆円規模に膨張
    • 同時期に大阪万博・災害復旧工事と人材・資材を奪い合い
  • 採算性・需要構造リスク
    • 出張需要の減少・人口減で将来需要が当初想定ほど見込めない

つまり、川勝氏が「YES」でも、他工区や事業全体で「NO」が出て止まった可能性が非常に高いということです。


⚖ 川勝氏=唯一のボトルネックという見方の誤り

  • リニアは約286km全線のうち静岡は約8.9km(3%未満)
  • 物理的にも、静岡が動いた瞬間に全体が動くような構造ではなかった
  • 実際、静岡以外の工区も工程遅延・許認可遅れ・コスト超過に直面している。

📌 結論

  • 川勝氏が反対していたことは事実だが、
  • 仮に賛成していたとしても、他工区や構造的問題で結局STOPしていた可能性が極めて高い。

つまり──

「川勝が止めた」は事実の一部であっても、「川勝さえ動けば動いた」は幻想だった

というのが、全体構造から見た現実です。

自らも大井川の環境保全をNPOで取り組んできた地元記者が徹底取材。
地道な調査の結果、リニア反対の根拠はすべて崩れ去った。
問題をこじらせた、知事の政治手法の致命的な問題点を告発!
リニア静岡問題の全体像がこの一冊ではじめてよくわかる。

「私も川勝知事の『命の水』を信じて、応援していた。ところが、リニア静岡問題を巡るお騒がせ、突飛な行動が続き、調べていくと、川勝知事の『命の水を守る』が真っ赤な噓であることを突き止めた」(あとがきより)

1章 川勝知事「命の水」の真っ赤な嘘
2章 静岡県庁のごまかし全内幕
3章 県庁ぐるみの著作権違反事件
4章 川勝知事の暴言録
5章 国交省の愚かな〝敗北〟
6章 確執の根源 静岡空港新駅