現役Webライターによるいろいろな思い

「AIで稼げる」は本当か?夢を売るセミナーの裏側とリアルな活用法

最近、SNSや広告で「AIで月収100万円」「ChatGPTを使って誰でも稼げる」といったキャッチコピーをよく見かけるようになりました。無料セミナーやオンライン講座が次々と開催され、あたかも“今こそ始めないと損”という空気が流れています。

でも、ちょっと待ってください。
本当にそんなに簡単に稼げるなら、なぜ彼らはわざわざセミナーを開いてまで他人に教えるのでしょうか?
かつてのアフィリエイトセミナーや転売塾と同じように、AIという「バズワード」を利用して夢を売っているだけではないか――そう感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、急増するAIセミナーの裏側と、本当にAIを使って収益を得ている人たちの「現実的な姿」を紹介します。AIそのものを否定するわけではありません。むしろ、正しく活用すればとても有益なツールです。だからこそ、甘い言葉に惑わされず、地に足のついた情報をもとに行動してほしいのです。

最近急増中の「AIセミナー」って本当に信じていいの?

ChatGPTをはじめとする生成AIが一般にも普及し始めた今、そのブームに乗じたセミナーや講座が急増しています。特にSNSや動画広告などでは、誰でも簡単に参加できるような無料セミナーが目立ち、「AI副業」「AI起業」など、耳ざわりのいい言葉が並んでいます。

いかにも魅力的に見えるこれらのセミナーですが、少し立ち止まって見てみると、どれも似たような構成とキャッチコピーが使われていることに気づくはずです。

SNSや広告でよく見るセミナーの実態

最近ではInstagramやYouTube、X(旧Twitter)などの広告枠に「副業で人生を変えた主婦」「脱サラしてAI起業に成功した20代」などの事例が次々と登場します。写真や動画をうまく使い、あたかもAIを使えば誰でもすぐに成功できるかのような演出がされています。

しかし、セミナーの中身はというと、実際にはAIの使い方そのものにはあまり触れず、「LINE登録で限定情報プレゼント」「今だけ参加費無料」といった勧誘が中心で、最終的には高額な講座や塾への案内につながるケースが大半です。

例えばこちら。管理人がYouTubeを見ていると良く流れてくるセミナーの広告です。

見たことあるって人も多いんじゃないでしょうか。まさに「AIで稼げます」みたいな雰囲気で視聴者に迫ってきます。しかしこの画像の左上に「個人の感想」だと「逃げ道」を用意しています。

この会社のサイトにアクセスし、特定商取引に関する記述を見てみました。

注目すべきは一番下。販売価格は「99,800円」です。法人番号もありますし、決して「詐欺会社」とは言いませんが、広告では一言も価格には触れていません。本当に良いものだとの自負があるなら価格も全面的に押し出せばいいんじゃないですかね?

「99,800円ですけど、それ以上稼げますよ」と。

こうした手法はかつてのアフィリエイト情報商材に相通ずるものがありますよね。

キャッチコピーに共通する「甘い言葉」

この手のセミナーで特によく見かける言葉には共通点があります。

  • 「AIを使って毎月安定収入を実現」
  • 「たった10分の作業で副収入が生まれる」
  • 「知識ゼロ・初心者でもOK」
  • 「今始めれば先行者利益が狙える」

こうした言葉は、AIをよく知らない人にとっては非常に魅力的に映るかもしれませんが、裏を返せば、実際のAI活用の難しさや現実からは目をそらさせる「売り文句」とも言えます。

「AIで稼げる」は嘘ではない、でも真実でもない

「AIで稼げる」という言葉自体は、完全に嘘とは言い切れません。実際、AIを活用して収益を上げている人もいます。しかしその多くは、もともと何らかのスキルや実績、仕組みを持っていた人たちであり、AIをきっかけに突然成功したわけではありません。

AIは確かに便利な道具です。でも、道具は使い方によって成果が大きく変わるもの。何も持っていない人が、ただAIを使っただけで急に稼げるようになるわけではないのです。

本当に稼いでいる人はAIを「道具」として使っている

たとえば、すでにアフィリエイトサイトを運営している人が、AIを使って記事作成を効率化している。あるいは、フリーランスのデザイナーが、ラフ案をAIで生成して作業時間を短縮している。そういった「すでにビジネスをしていた人たち」が、AIによって収益性や作業効率を高めているケースは数多くあります。

つまり、稼いでいる人は「AIを使って稼いでいる」のではなく、「稼ぐ仕組みの中にAIを取り入れている」だけなのです。

アフィリエイトや転売と同じ構造

思い返せば、かつても似たようなブームがありました。「誰でも簡単にブログで稼げる」「せどりで月商100万円達成」など、魅力的に見える言葉が飛び交っていた時期です。AIという「まだあまり知られていないもの」を「稼げるもの」として喧伝する。AIもまた、それらと同じように「何となく稼げそうなもの」として消費されているだけの可能性があります。

そして、あの頃も結局稼げたのは「やるべきことを地道にやった人」だけでした。AIが登場した今も、それは変わっていません。

結局、AIは何をしてくれるのか?何をしてくれないのか?

AIは文章を自動で書いたり、画像を生成したり、データを分析したりと、非常に便利なことがたくさんできます。でも、「何を作れば売れるのか」「誰に向けて届けるべきか」といった本質的な判断までは、やはり人間の仕事です。

AIはあくまで「作業を補助する存在」であって、「代わりに稼いでくれる存在」ではありません。



怪しいAIセミナーに共通するテンプレと見抜き方

どの分野でもそうですが、ブームになると必ず現れるのが「楽に稼げる方法を教える」と称する人たちです。AIも例外ではなく、まるで成功が保証されているかのように語るセミナーや講座が後を絶ちません。

こうしたセミナーには、ある程度共通するパターンがあります。うまく言葉を並べて魅力的に見せてきますが、冷静に見れば違和感のある要素ばかり。ここでは、怪しいAIセミナーにありがちなテンプレートを3つ紹介します。

「誰でも」「今すぐ」「簡単に」の三拍子がそろっている

まず真っ先に警戒すべきは、「誰でもできる」「今すぐ始められる」「わずか〇分の作業で」といった、三拍子そろった表現です。
これは過去の情報商材、アフィリエイト塾、仮想通貨セミナーでも多用されてきた、典型的な釣り文句です。

本来、ビジネスで稼ぐには学びや経験、継続的な努力が必要です。AIを使えばたしかに一部の作業は短縮できますが、それは「すでにやるべきことが明確な人」に限られます。何をしていいかも分からない状態でAIに丸投げしても、成果にはつながりません。

こうした甘い言葉に乗せられてしまうと、「誰でもできる」と思ってしまい、結果的に時間とお金だけを失うことになりかねません。

実績があいまい、あるいは再現性がない事例ばかり

多くのセミナーでは「実際にAIで稼いでいます」と語る講師やモデルが登場しますが、その実績が具体的でないケースが非常に多いです。
「〇ヶ月で月収100万円達成」「副業から独立成功」など、華やかな数字が出てくるものの、どのような手法で、どんなスキルが必要だったのかといった肝心な情報が抜け落ちています。

また、提示される成功事例も個別性が強く、「誰でも再現可能」とは言えないものがほとんどです。内容をよく見ると、元からWeb業界にいたり、SNSでの発信経験が豊富だったりと、「その人だからできた」要素に頼っていることが多いです。

再現性のない成功談に振り回されず、冷静に見極める目が必要です。

終盤で高額コミュニティや塾への勧誘がある

セミナー自体は無料、あるいは格安で参加できるようになっていて、ハードルは低く設定されています。ところが話を聞き進めるうちに、最終的には数十万円規模の塾やコミュニティへの参加を勧められるパターンが多く見られます。

「この環境に入ればすべてが手に入る」「仲間と一緒に成功できる」「限定ノウハウはここでしか手に入らない」といった言葉で囲い込み、心理的に不安を煽るのが特徴です。

本当に価値のある情報なら、わざわざ「今だけ限定」のような売り方をしなくても、自然と人は集まるはずです。そうではなく、「今すぐ決断しないと損」「周りはもう始めている」などの焦らせる言葉が並ぶ時点で、冷静に引くべきです。

実際にAIを使って稼ぐリアルな人たちの特徴

派手なキャッチコピーや怪しいセミナーばかりが目立つ一方で、地道にAIを活用し、しっかり成果につなげている人たちも存在します。ただし彼らに共通するのは、「AIを中心にして稼いでいる」のではなく、「本業や副業の中で、AIを効率化のための道具として使っている」という点です。

ここでは、実際にAIを活用している人たちがどのように収益を上げているのか、その共通点を見ていきましょう。

スキルや経験の上にAIを乗せている

多くの成功例を見ていくと、AIを使って稼げている人のほとんどが「もともと何かしらの専門スキルやビジネス経験を持っている」という共通点があります。

たとえば、WebライターがChatGPTを使って下書きを自動生成し、構成や見出し作成を効率化する。動画編集者がAIでサムネイルやタイトル案を作り、作業スピードを上げる。プログラマーがコーディングの補助としてAIを使い、バグの検出やコードのリファクタリングを時短化している。

つまり、すでに自分の強みや土台がある人が、その一部をAIに委ねることで、さらに収益性を高めているのです。

作業効率化・外注コストの削減に使っている

AIは、何かを「ゼロから生み出す魔法の箱」ではなく、作業の手間を減らすための優秀なアシスタントです。

たとえば、自社のSNS運用をしている人が、毎日の投稿文をAIで作成し、アイデア出しや構成作業を自動化しているケース。あるいは、営業活動をしている人が、メールのテンプレートや反応パターンをAIで事前に用意しておくことで、返信率を高めているという事例もあります。

このように、AIを「人的コスト削減」「作業時間の短縮」として使うことで、全体の生産性を上げ、結果的に収益につなげているのが現実的な使い方です。

継続的に学び、試行錯誤を重ねている

さらに特徴的なのは、AIを使って稼いでいる人ほど、常に新しいプロンプトの使い方を学んだり、精度を上げる工夫を日々続けているという点です。

「どうすればもっと自然な文章が出せるか」「画像生成のパラメータをどう設定すれば効率的か」など、試行錯誤と改善の連続です。これはまさにAIをパートナーとして扱っている証拠とも言えるでしょう。

決して楽して稼いでいるわけではなく、「楽になるように工夫している」からこそ、成果につながっているのです。



じゃあ、これからAIを使いたい人はどうするべき?

ここまでの内容を読んで、「結局AIって使えないの?」と思った人もいるかもしれません。ですが、そうではありません。大切なのは、AIを夢の装置として見るのではなく、「今の自分にどう活用できるか」を具体的に考えることです。

ここでは、これからAIを取り入れたい人が取るべき行動と、役立つリソースを紹介します。

セミナーではなく、まずは自分で触ってみる

AI活用を学ぶ最初のステップは、とにかく「実際に使ってみること」に尽きます。特別な準備や知識がなくても、今すぐChatGPTや画像生成AI(例:Bing Image Creator、CanvaのAIツールなど)に触れてみることで、感覚がつかめます。

最初は「どう使えばいいか分からない」と感じるかもしれませんが、それでOK。むしろ、何ができるのか・できないのかを自分で体感することが、遠回りのようで一番の近道です。

そもそも「AIを使う」と意識するのではなく、「相談する」で十分です。「AIの操作なんて難しいんじゃないか」と思うことでしょう。そこでAIを「相談役」だと考えてみましょう。

このように、献立の相談だって可能です。ただ、じゃがいもとにんじで肉じゃがなんて誰だってイメージするって思うことでしょう。そこでちょっと違うリクエストをすることも可能です。

こうして「自分が求める答え」を探していけばよいだけです。

なお、最近はChatGPTでも無料でかなり高度な操作ができるようになっており、月額課金をしなくても十分に試す価値があります。

実務への応用ポイントを意識する

AIを触って慣れてきたら、「どの作業に活かせそうか」を考えてみましょう。

たとえばライティングなら、記事の構成案や導入文の生成、見出しの案出しなどが得意分野です。動画編集者なら、タイトルや説明文の自動生成に活用できます。事務作業が中心なら、定型文メールの作成、議事録の要約、顧客へのFAQ対応などがAIの得意分野です。

重要なのは、「何でもAIにやらせよう」とせず、まずは自分の苦手な作業や時間がかかっている部分にだけ、ピンポイントで導入してみることです。

参考になる無料リソースやコミュニティを活用する

最近は、有料セミナーに参加しなくても、AIの活用方法を学べる無料リソースが豊富に存在します。

  • YouTubeでのAI活用チュートリアル(ChatGPT、Notion AIなど)
  • noteやQiitaでのプロンプトの実例共有
  • RedditやX(旧Twitter)での活用Tipsのシェア
  • ChatGPT公式の活用ガイドや日本語コミュニティ

こうした場所では、実際の現場で使っている人たちの“リアルなノウハウ”に触れることができます。しかも無料で、何度でも試せるという点が魅力です。

まとめ|「AIで稼げる」時代に、振り回されないために

「AIで誰でも稼げる」という言葉が独り歩きする時代。
でも、その裏側では、過去のアフィリエイトブームや転売ビジネスと同じように、「何となく稼げそう」と感じる人たちを狙ったビジネスが活発化しています。

この記事を通じて伝えたかったのは、AIそのものを否定するのではなく、「正しく使うためには冷静な視点が必要だ」ということです。

怪しいセミナーの甘い言葉に惑わされるのではなく、
・自分のスキルや目的に合った使い方を考える
・まずは自分の手で触れて、実感してみる
・成功談よりも、日々試行錯誤している人の声を聞く

こういった地に足のついた行動こそが、これからのAI時代を生き抜く本当の武器になるはずです。

AIは、努力し続ける人の背中を押してくれる存在です。
ただ見ているだけでは何も変わらない。
でも、自分の頭で考え、行動を重ねていけば、AIはきっと大きな味方になってくれるでしょう。

「AIで稼げるかどうか」ではなく、
「AIを使って、何を成し遂げたいか」。
そこに本当のスタートラインがあります。